緑茶は世界中で親しまれている健康的な飲み物です。はじめは中国で薬草として使われていたお茶の葉ですが、徐々に美味しい飲み物の材料として世界で定着していきました。今ではお茶の葉を使った様々な飲み物がありますが、そのなかでも緑茶は特に健康効果が高いものとして知られています。
しかし、どんなにいい薬でも必ず副作用が存在するように、緑茶にも覚えておくべき副作用があります。この副作用の多くは、カフェインやタンニンに敏感な人ほど影響を及ぼしますが、ほとんどの人にとっては(よほど飲みすぎない限り)一生無縁のものです。しかし、あなたがその副作用の影響を受けにくい人だとは限りません。体が不調になったときに、それが「お茶の飲み過ぎによって起きたかもしれない」と気づけるように、ここでは緑茶の副作用について解説していきます。
緑茶について
緑茶は、紅茶やウーロン茶などの他のお茶と同じように、チャノキの葉(や茎)から作られている、いわゆる天然の飲み物です。そのため、科学技術が発達するずいぶん前から親しまれており、ときには薬として用いられてきた歴史があります。実際に、現在では緑茶がガンの予防、血圧上昇を抑える、悪玉コレステロールを減少させるなど、多くの健康効果が期待できることが分かっており、近年ではアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患を予防することも示されています。
緑茶の副作用
そのような良い効果を持つ緑茶ですが、覚えておくべき副作用がいくつかあります。そんな副作用を11の例とともにご紹介します。中には原因は同じだが、症状が違うものもあります。
1日に何杯飲めば副作用が起きないのかは個人差が大きく、一概に言えるものではありません。たくさんの副作用を見て、緑茶を飲む気が無くなるかもしれませんが、ほとんどの飲み物には同じぐらいかそれ以上の副作用があることをお忘れなく。
1.胃痛と下痢
緑茶は、濃く淹れたり、空腹時に摂取したりすると、「胃の炎症」を引き起こす可能性があります(1)。緑茶には、胃酸を増やすタンニンが含まれています。そのため緑茶を飲むことで胃の酸が過剰に出されてお腹が痛くなるのです。
また、大量に摂取すると「下痢」を引き起こす可能性があります。コーヒーと同じように緑茶にも含まれているカフェインが、結腸の筋肉を刺激するため下剤のような効果をもたらすことがあるのです。「胃のむかつき」を感じるのもこれらが理由です。過敏性腸症候群のような症状がある方は緑茶のようなカフェインを含む飲み物を避けたほうが良いでしょう。
これらの副作用を避けるために、空腹時に緑茶を飲まないようにしましょう。代わりに、食後に緑茶を飲むようにして下さい。胃潰瘍などで苦しんでいる場合は、胃酸の増加により症状が悪化する可能性があるため、食後であっても緑茶を避けたほうが良いかもしれません。
2.頭痛
緑茶にはカフェインが含まれているため、血管を収縮させる効果があります。それにより一部の人は毛細血管が多い頭に痛みを感じる場合があるのです(2)。片頭痛持ちの方には適度な量のカフェインが予防につながることもあります。しかし、過剰摂取により余計に頭痛をひどくしてしまうこともあるのです。
緑茶を飲んだあとで頭痛を感じるようであれば、それは摂取したカフェイン量が多いからかもしれません。
3.睡眠の質の低下
緑茶に含まれるカフェインは、睡眠の質を下げる効果があります。これは、カフェインが睡眠を助けるメラトニンなどのホルモンの放出を防ぐからだとされています。そのため夕食後や睡眠前に飲んだ緑茶のせいで、いくら寝ても疲れが抜けにくい状態になってしまうのです。基本的には就寝前5時間以内に緑茶を飲まないほうがいいでしょう。
一方で緑茶には、落ち着きをもたらし、リラックス効果のあるL-テアニンという物質も含まれています。L-テアニンは脳内のグルタミン酸受容体を阻害させ、心拍数を低下させる効果もあるとされています (5) 。それにより、逆に「眠りにつきやすくなる」という研究報告もされていますが、これらの研究の対象者は主にADHDや統合失調症などの障害を持つ人でした(3)(4)。そのため、一般的には緑茶は睡眠の質を下げると考えて問題ないでしょう。
4.貧血と鉄不足
緑茶には、鉄の吸収を妨げる抗酸化物質が含まれています。それにより、貧血や鉄欠乏症という栄養障害を起こす可能性があるのです(6)。実際に、ある研究では緑茶を毎日よく飲む成人男性は貧血を起こしやすいということが報告されています(7)。
この副作用を避けるために、緑茶が好きな方は、レモンなどのビタミンCを多く含む食材を積極的に摂るようにしておきましょう。ビタミンCは鉄の吸収を促進し、この副作用を打ち消す可能性が期待できるからです。
貧血や鉄欠乏症になりやすい成長期の女性や小さな子供は、特に緑茶の飲み過ぎに注意するようにしましょう。
5.嘔吐
緑茶を飲みすぎると、吐き気や嘔吐を引き起こす可能性があります。これは、「1.胃痛と下痢」で紹介したものと同じで、胃液を促進させるタンニンによるものです(8)。
緑茶をよく飲む人で、ときどき吐き気や嘔吐の症状が出る人は、1回に飲む緑茶の量を減らしてみて下さい。
6.めまいとけいれん
緑茶に含まれるカフェインよって、めまいや立ちくらみを感じることがあります。カフェインは血管を収縮させるため、脳と中枢神経系への血流を減少させ、乗り物酔い(車酔い)の状態を引き起こすのです。同じ原因でまれに、耳鳴りやけいれんの症状を起こすこともあります(9)。
ある研究によると、緑茶の1日の最大摂取量はコップ24杯とされています(10)。しかし、前述のように、この副作用はまれであり、多くの人はよほど過剰な量を摂取しない限り感じることはありません。
7.出血性疾患
まれに、緑茶によって出血性疾患(急に血が出たり、傷が治りにくいなどの病気)を引き起こす可能性があります。ある研究では緑茶に含まれる物質により、血液の凝固を助けるタンパク質であるフィブリノーゲンのレベルを低下させることが報告されています(11)。また、緑茶を飲むことで脂肪酸の酸化を防ぎます。これは、ときには人体にいい影響を及ぼすこともありますが、血液の粘度を低下させる可能性もあるのです。
8.肝疾患
緑茶の大量摂取は、肝臓の病気につながる可能性があります(12)。これはカフェインの過剰摂取により、肝臓にカフェインが蓄積され、ストレスがかかるためだと言われています。
9.不整脈と血圧上昇
いくつかの研究では、緑茶が不整脈や血圧の上昇を引き起こす可能性があることを示しています。しかし、この副作用はまれであり、まだ研究が進んでいない症状の1つです。実際これらの研究は緑茶を飲むことによる統計的な調査研究であり、科学的な根拠はまだほとんど解明されていません。そのため、今後否定される可能性も十分にあります。
ある研究によると、「大部分の人には緑茶が血圧を改善する有効的な飲み物であるが、一部の人には血圧を上昇させる可能性がある」とされています。これは緑茶に含まれるカフェインの作用によるものではないかと示唆されています(13)。また別の研究では、緑茶を飲むことで、一部の高血圧の治療薬に悪い影響を与える可能性が報告されています(14)。
特に心臓に病気がある方や高血圧予防の薬を服薬している方は、緑茶を飲む前に医療専門家の判断を聞くようにして下さい。
10.骨疾患
緑茶の過剰摂取は、骨粗鬆症などの骨疾患のリスクを高めます。緑茶に含まれる物質によりカルシウムの体内への吸収を阻害することが分かっています(15)。1日の摂取量目安をクリアしていても、このような吸収を阻害するものを口にしていると骨の病気にかかりやすくなってしまうのです。小さい頃から人よりも骨折が多かった方は特に注意するようにしておきましょう。
11.妊娠および子供の使用のリスク
緑茶のカフェインやカテキンは、妊娠中のリスクが増加するとされています。1日に3杯以上緑茶を飲むと流産や先天性欠乏症につながるとされる研究があるのです。またカフェインは母乳を通して乳児も摂取してしまうため、授乳中の女性は普段よりも摂取量を気をつけることが勧められています。
一方で、少量の緑茶(1日2杯以下)であれば妊娠中や授乳中にも安全であるとする見方が多いです。このあたりは現在の健康状態や医師の見解によっても意見が分かれるため、心配な方は一度掛かりつけの主治医に相談してみましょう。
まとめ
ここまで緑茶を飲む気が無くなるような多くの副作用を挙げてきましたが、前述の通りほとんどの人にとってこれらの副作用は一生無縁なものです。また、
大事なのは副作用を理解して、飲む量を自分でコントロールすることです。緑茶が好きな方でも1度に大量に摂取したりせず、徐々に量を増やすなどして、自分の許容量をしっかり把握するようにしましょう。
出典:
- https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1964900/
- https://nccih.nih.gov/health/greentea
- https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22214254
- https://www.cambridge.org/core/journals/acta-neuropsychiatrica/article/effect-of-l-theanine-on-glutamatergic-function-in-patients-with-schizophrenia/4C52908DEEDE7C938EA5110D13AA2BA2
- https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16930802
- https://academic.oup.com/cdn/article/1/2/1/4558629
- https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5093162/
- https://www.sciencedirect.com/topics/biochemistry-genetics-and-molecule-biology/condensed-tannins
- https://toxnet.nlm.nih.gov/cgi-bin/sis/search/a?dbs+hsdb:@term+@DOCNO+8162
- https://livertox.nih.gov/GreenTea.htm
- https://www.livestrong.com/article/469873-the-effects-of-green-tea-on-blood-clating/
- http://fortune.com/2018/04/18/are-green-tea-supplements-safe-liver/
- https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10404946
- https://www.webmd.com/hypertension-high-blood-pressure/news/20140113/green-tea-may-interfere-with-a-blood-pressure-medicine#1
- https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2744612/
参考:https://helloteacup.com/2013/08/18/13-things-to-do-with-your-leftover-green-tea-leaves/
:https://www.gypsysoul.co.uk/10-uses-for-leftover-green-tea-leaves/
:https://www.healthline.com/nutrition/how-much-green-tea-per-day#TOC_TITLE_HDR_5
コメントを残す