世界には様々な種類のお茶が存在します。その中でも台湾にあるウーロン茶「東方美人」は、世界屈指の値段の高さで知られているお茶の一つです。
台湾は今や日本人が手軽に訪れることができる人気の海外旅行先の1つで、スイーツを中心に台湾から輸入される食文化も数多く存在します。しかし、この「東方美人」を知っている日本人は多くありません。それはこのお茶に『特殊な事情』な事情があるからなのです。
東方美人とは
この「東方美人」という名前のお茶は、エリザベス2世がとても気に入り「オリエントビューティー」と名付けたことが由来になっていると言われています。他にも東方美蓮、東風美蓮(バイペン)、東風美麗(ドンフェンメイ)という名前でも呼ばれています。
価格
安いもので、100gあたり2,000円。品質の良いものだと100gあたり10,000円以上します。
日本で一番飲まれている煎茶だと、100gあたり500円ぐらいで買うことができ、百貨店にある高級なものでも100gで10,000円を超えるものはなかなかありません。
味
ウーロン茶なのに、果実のようなコクと僅かな渋みがあり、また蜂蜜のような甘い香りが特徴です。しかし、とてもすっきりした後味で、あとに残りません。
果物などのデザートと特に相性がよく、昼下がりのティータイムにはピッタリのお茶です。
歴史と特徴
もともとお茶の木につく害虫である「ウンカ」という虫にやられた茶葉を煎じて飲んでみたところ、とてもおいしく、そこから広まっていきました。
初めて耳にした方は「虫が食べたお茶」ということで良いイメージはつかないでしょう。しかし有名な紅茶のひとつ「ダージリンティー」も同じように虫に喰われた茶葉を使うのです。もちろん虫を食べるわけではありませんのでご安心ください。
虫に食べられた茶葉は枯れる時間が長くなることで加水分解や酸化のスピードが速くなり、甘味のあるお茶になります。刺された葉からはテルペンが分泌されるため、ハチミツのような香りがするのです。
歴史についてはwikipediaに分かりやすくまとめてありますので、こちらもどうぞ。
19世紀中の台湾・新竹で、ウンカの被害(もともとウンカ=チャノミドリヒメヨコバイは害虫である)により商品として使い物にならなかった茶葉を用い製茶したところ、蜜のように甘くかぐわしい香りと味で評判になった。ウンカは害虫と呼ばれる虫であるが、東方美人を作るうえで必要な事から東方美人茶を虫食い茶と呼ぶこともある。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
なぜ高いのか
ではなぜ、虫に食われた茶葉を使ったお茶が、高級なお茶と位置づけられているのでしょうか。
農薬使えず生産が難しい
一番大きな理由は農薬が使えないことです。あえて害虫に食べさせる必要があるため、その害虫を殺すことはできません。かといって農薬を使わなければ、他の害虫にもやられてしまいます。
農薬を使わず、綿密な管理と手入れが必要で、安定生産が難しいことが挙げられます。
品質のコントロールが難しい
ウンカに葉を喰わせてつくる東方美人ですが、喰われすぎてもいけません。喰われすぎた茶葉は単に苦いだけになり、また収穫量も格段に落ちてしまいます。もちろん全然喰われていないのも問題です。いわゆる普通のお茶になってしまいますからね。
自然のちからを十分に使うため、品質をコントロールすることが難しいため、良くできた東方美人は必然的に高くなっていくのです。
農家人口が増えない
最後に農家さんが増えないことが最近の問題になっています。
ブランド力があり、世界中で需要がある東方美人ですが、やはりこれまでの説明の通り安定生産が非常に難しいため収入が安定しないようです。そのため若者は同じ農家でも他の作物を育てる傾向にあるようです。
さいごに
東方美人は単にブランディングされた高いだけのお茶ではありません。台湾に旅行に行ったときやお茶屋さんで見かけたときは、ぜひ農家の方たちの苦労を思い描きながら購入してみてはいかがですか?
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