40~50代の特に女性に多く発症する関節炎。指や膝などに痛みや熱を伴い、日常生活に支障をきたす面倒な病気の一つです。この関節炎について、緑茶を日常的に飲むことで炎症を軽減するかもしれないと言えるいくつかの研究が発表されています。今回はその一部と期待される効果をまとめています。
関節炎とは?
まず関節炎について少し深堀りしていきましょう。関節炎は、毎日何百万人もの人々に影響を与えるとされている重度の関節の炎症です。足や腕に起こるものもあれば骨盤や脊髄に発症する場合もあり、日常生活に大きく支障をきたす可能性のあるものです。
がんと同じように年齢、性別、人種に関係なく、すべての人が関節炎に苦しむ可能性があります。しかし、一般的には女性や40~50代に多く発症することが報告されています。
アメリカにある『関節炎財団(The Arthritis Foundation)』によると、この関節疾患が人々の生活の障害となる主要な原因の1つであると発表しています。実際世界中で、毎年5,000万人以上の成人と30万人以上の子供が関節炎と診断されているのです。
関節炎の種類
一言に関節炎と言っても、その具体的な病名や原因は100種類以上あります。
最も一般的なタイプは、関節リウマチ、変形性関節症、そして骨粗鬆症の3つです。
- 関節リウマチ:体の免疫系が誤って関節を攻撃してしまう自己免疫疾患
- 変形性関節症:軟骨が壊れ、関節間のクッションが足りずに発生する慢性関節疾患
- 骨粗鬆症:骨が弱くなり、もろくなる関節疾患
関節炎の一般的な治療
関節炎の治療には、鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬、メントールクリームなど、さまざまな種類の薬が使用されます。また、筋肉を強くするために理学療法を勧めることが一般的です。
関節炎の治療法に関していくつかの研究がありますが、特に関節リウマチには現時点で具体的な治療法がないことが報告されています。
緑茶は関節炎に効くとされる3つの研究報告
関節炎や関節痛に効果をもたらす食べ物や飲み物(家庭薬)について数多くの調査研究があります。その中でも特に「緑茶」による代替治療に関してここ十数年で研究が増えてきています。緑茶は、その非常に強力な抗炎症作用により、関節炎に対して非常に良い効果を示しています。
例えばアメリカのオハイオ州にあるケースウエスタンリザーブ大学による1999年の論文では、緑茶に多く含まれるポリフェノールの一種であるカテキンが抗酸化作用を持ち、関節炎の発生率と重症度を効果的に軽減することを示しています。カテキンの中でも特にエピガロカテキンガレート(EGCG)は関節炎の軟骨(クッション)が壊れるのを抑制しているのです。つまり、緑茶を飲むことで変形性関節症を予防する働きが期待できるのです。
同じくアメリカのミシガン州立大学では、緑茶と関節リウマチの間に強い関係があることを発見しました。研究では、EGCGの抗炎症効果が、関節リウマチの原因となる脆弱な免疫系を妨害することを報告されています。つまり、緑茶が関節リウマチ患者にとって効果的な治療法である可能性を持つことを示しているのです。
さらに、ワシントン州立大学の研究でも、EGCGに見られる抗炎症の特性が関節リウマチの治療法になるのではないかという報告がされています。これは、EGCGが他の正常な細胞機能をブロックすることなく病気を引き起こす分子のみをブロックするというものです。
緑茶を飲むだけでその改善・予防が期待できる
3つの研究から分かるようにカテキンの一種であるEGCGが関節痛の予防や改善に効果がある可能性を示唆しています。EGCGを多く含む飲み物である、緑茶や抹茶を毎日飲むことで、炎症を抑え、免疫システムを高め、痛みを伴う関節炎を治す手助けになるかもしれません。
研究が完了していない現時点では「100%効果がある」とは言えませんが、少なくとも、普段の食事に緑茶を飲むだけで大したリスクを負わずにその可能性に賭けることができるのです。お水や清涼飲料水などをよく飲む方はこれを機会に緑茶を意識的に飲んでみてはいかがでしょうか。
Sources
Ahmed, S. (2010). Green tea polyphenol epigallocatechin 3-gallate in arthritis: Progress and promise. Arthritis Research & Therapy, 12(2), 208.
Ahmed, S., Rahman, A., Hasnain, A., Lalonde, M., Goldberg, V. M., & Haqqi, T. M. (2002). Green tea polyphenol epigallocatechin-3-gallate inhibits the IL-1β-induced activity and expression of cyclooxygenase-2 and nitric oxide synthase-2 in human chondrocytes. Free Radical Biology & Medicine, 33(8), 1097.
Ahmed, S., Wang, N., Lalonde, M., Goldberg, V. M., & Haqqi, T. M. (2003). Green tea polyphenol epigallocatechin-3-gallate (EGCG) differentially inhibits interleukin-1β-induced expression of Matrix Metalloproteinase-1 and -13 in human chondrocytes. The Journal of Pharmacology, 308(2), 767-773.
Haqqi, T. M., & Anthony, D. D. (1999). Prevention of collagen-induced arthritis in mice by a polyphenolic fraction from green tea. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 96(8), 4524.
Singh, R., Akhtar, N., & Haqqi, T. M. (2010). Green tea polyphenol epigallocatechi3-gallate: Inflammation and arthritis. Life Sciences, 86(25/26), 907-918.
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