静岡県に隣接する山梨県の南部町で生産されている南部茶(なんぶちゃ)。この土地では、お茶の産地として有名な静岡と気候が似ており、良質な茶葉が安定して収穫される。静岡茶と品質面では大差がなく、渋みや苦味などの癖が少なく飲みやすいのが特徴。静岡茶が「深蒸し茶」が多い一方、南部茶は「普通蒸し茶」が一般的だ。
味・製法
南部茶の味を一言で表すと「スッキリと飲みやすい味」です。
この南部町で作られる南部茶は苦味や渋味が少なく、くせのない飲みやすい味が特徴です。またお隣の静岡茶との大きな違いは「深蒸し」ではなく「普通蒸し」で仕上げられていることが挙げられます。
普通蒸し茶は深蒸し茶に比べ、「粉っぽさ」や「お茶の沈殿」が少なく、スッと口の中に溶けていくような味わいが楽しめます。一方で深蒸し茶よりも「渋み」をやや強く感じやすく、味全体が「やや薄い」と感じることもあるでしょう。
産地
南部茶が採れるのは山梨県南部町。南アルプスの麓に位置するこの土地は、お茶の有名な産地である静岡県に隣接しており気象条件が似ています。比較的温暖で、降水量が多く、お茶の栽培に非常に適した気象条件を持つ土地です。
歴史
今から600年以上前に建てられた山梨県の寺院に茶畑に関する書物があり、それが山梨県にお茶が伝わったことを知る最古の書物となっています。書物が記されたのは室町時代であることは間違いないようですが、具体的な年代は不明です。
長年商業的に大規模な茶業はありませんでしたが、現在一般的な「やぶきた」品種が作られた戦後の1950年頃に本格的にお茶の生産が行われるようになりました。その数年後には、南部町がお茶の栽培に適していることが知れ渡り、国や県がサポートする形で、山梨県で最も茶業が栄える地になっていったのです。
品種
南部茶が広まった戦後以降、品種はほぼすべてが「やぶきた」です。
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