日本一の茶処として有名な静岡県。そんな静岡県の西部に位置する掛川市で生産されているのが掛川茶(かけがわちゃ)。太平洋側の温暖な気候で葉が肉厚に育ち、そのままではやや苦味が強いのが特徴だ。その苦味を和らげるために、茶葉は深蒸し製法で製茶され、まろやかな味わいにするのが掛川茶の主流となっている。チャノキの周辺の雑草を刈り取り、それを天然の肥料としてチャノキの根本に覆う『茶草場農法』を受け継いでいることでも有名。
製法・味
掛川茶は静岡茶で一般的な「深蒸し製法」で仕上げられています。
深蒸しは普通蒸しに比べて、茶葉の苦味や渋味を抑えることができる製法です。この地域では太平洋側の温暖な気候の影響で葉が肉厚になり、茶葉に苦味が強く出やすいという難点があります。それを解消するために、掛川茶では深蒸しが主流となっているのです。
またチャノキの栽培には「茶草場農法(ちゃくさばのうほう)」というものを取り入れて(受け継がれて)います。これはチャノキの周りに生えているススキなどの雑草を刈り取って、天然の肥料としてチャノキの根本に覆うやり方です。このやり方はお茶の味や香りがよくなるとされ、世界農業遺産にも登録されているエコな農法なのです。
産地
日本屈指の茶処である静岡県はお茶の栽培にぴったりの気候を持ちます。太平洋側の温暖な風、比較的多い降水量、それでいて水はけのいい土地という3拍子がそろった環境はお茶の生育にいい影響を与え、質のいい茶葉が取れやすいのです。
掛川茶が生産される掛川市でも例外ではなく、とてもお茶の栽培に適しています。温暖な機構に加えてなだらかな傾斜地があり、市の面積の約10%もが茶畑となっているのです。
歴史
掛川茶の始まりは江戸時代前の戦国時代。掛川にあるお寺の僧侶が京都から茶の種を持ち帰って蒔いたのが始まりとされています。そこから明治時代にかけて生産量が増加し、当時日本の主要な輸出品としても用いられるようになります。
昭和30年代になると、現在主流となっている「やぶきた」品種が静岡県で一気に普及し、この掛川茶でも一般的となっていきます。また、同時期に掛川茶の欠点である強い苦味を和やらげる深蒸し製法が確立し、人々に広く親しまれるようになりました。
現在では年々厳しくなっているお茶業界で生き残りをかけ、掛川茶のブランディングに力を入れています。実際、メインの消費者である東京都民には「掛川茶を知っていても思い浮かぶイメージがない」という方が殆どのようです。ぜひ独自の商品や販路、またイメージ戦略で活路を開いてほしいものですね。
品種
掛川茶の大部分は全国的にも一般的な「やぶきた」品種です。
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