石川県の加賀市や小松市などで生産されている加賀棒茶(かがぼうちゃ)。日本では珍しい「ほうじ茶」の銘茶として知られている。加賀棒茶はほうじ茶の中でもチャノキの葉ではなく茎を焙じ(ほうじ)て作った「棒茶」であり、かつて昭和天皇に献上されたことで名が知れ渡った経緯がある。軽やかな香ばしさを楽しむことができ、庶民的なものから高級なものまで様々な種類で販売されている。
味・製法
加賀棒茶の味を一言で表すと「すっきりと香ばしい味わい」です。
加賀棒茶はお茶の中でも緑茶ではなくほうじ茶に分類されるお茶です。ほうじ茶は製造の過程で高温で炒るためこうばしい香りと濃い褐色が特徴のお茶です。
加賀棒茶はそんなほうじ茶でも、茶の葉ではなく茎を炒って作られる珍しいお茶の一つです。そのため葉で作られたほうじ茶よりも、より香ばしくすっきりしています。
産地
加賀棒茶が主に生産されるのは石川県の南部に位置する加賀市や小松市などです。しかしこの地は静岡や鹿児島、三重などのように太平洋側の温暖な気候ではないため、お茶の大量生産に向いている土地ではありません。実際石川県の(加工前の)茶の生産量は非常に低いです。
そのため加賀棒茶の原料となる茶の茎は他県から仕入れて、石川県で生産(製茶)することも多いのが現状です。実際緑茶を中心に生産・販売している他県ではこの茎は廃棄されることが多いため、日本のお茶産業全体として考えればかなり効率のいいエコな作り方だと言えますね。
歴史
京都から近いこの地に本格的にお茶の文化が広められたのは今から約400年前の江戸時代。当時の藩主がこの文化を広めようとお茶の栽培を命じたことがキッカケとされています。現在でも石川県には茶道の文化が根強く残っています。
加賀棒茶の始まりはそれから約300年後の1900年頃です。当時緑茶は日本の主な輸出品であり、多くのお茶が国内よりも海外に回されていました。この石川県でも、もともと収穫量がとても多い土地ではなかったこともあり、緑茶は庶民にはとても高価なものであったとされています。そこで、緑茶製造時の廃棄物となる茎に着目し、高温で炒ってほうじ茶として飲みだされるようになったのです。結果的に、庶民でも楽しめるお茶として生まれた加賀棒茶は広く親しまれるようになりました。
もともとは2番茶以降の茎を使って安価で楽しめるお茶として普及したのですが、最近では1番茶の茎を使った高級な加賀棒茶も販売されています。
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