新潟県に近い富山県朝日町を中心に生産されているバタバタ茶。これは日本では珍しい後発酵茶「黒茶」の一つで、プーアル茶に近い飲み物である。成熟した茶葉を枝ごと刈り取り、蒸したあとに1ヶ月発酵して作られる。特徴的なのは飲み方で、茶筅でバタバタと音を立てて泡立てながら飲むのだ。泡は口の中で弾け、さわやかさとマイルドな味を楽しめるお茶だ。
※新潟県糸魚川市にもバタバタ茶(不発酵茶)がありますが、ここでは富山県朝日町のバタバタ茶(後発酵茶)をご紹介します。
味
バタバタ茶の味を一言で表すと「マイルドな味と爽やかな舌触り」です。
緑茶とは別の黒茶の1種ですので、味の想像がつきにくいかもしれません。黒茶は緑茶(煎茶)に比べて渋みが少なくまろやかな味わいです。そしてやや苦味を感じるお茶です。もともと泡立てて飲むのがバタバタ茶ですが、ストレートで飲むこともできます。ペットボトル飲料などでプーアル茶を飲んだことがある方は、それがバタバタ茶を泡立てないストレートな味と思っていただければわかりやすいかと思います。
泡を立てて飲むことで舌の上でその泡が弾けて爽やかに、また味がよりまろやかになります。
産地
富山県の東端に位置する朝日町は日本海と白馬岳などの北アルプス連峰に面しています。比較的温暖であり多雨多雪でありであるこの地はチャノキの生育と言うよりもお茶の発酵にもともと適していたのかもしれません。
歴史
バタバタ茶の歴史は今から500年以上前の室町時代にさかのぼります。仏教の宗派の一つである浄土真宗の本願寺蓮如が布教のためにこの地に訪れ、集落の人々を集めて説法をする際に使用したのが始まりと言われています。
以来このお茶と飲み方が村中に広まり、いまでも文化の一つとして残っているのです。
しかし、現在ではその製造工程の特殊さと日本人へのバタバタ茶の普及不足により、後継者不足に悩まされている現状で、製造技術を受け継ぐ継承者に町を挙げて取り組んでいます。
バタバタ茶を飲む際は、その時代背景や希少さを考えながら飲むことでより味わい深く楽しめるのではないでしょうか。
品種
バタバタ茶に使われる茶葉は長年「やぶきた」が使われています。しかし近年「フウシュン」の栽培が始まり、2020年から収穫が始まっています。興味がある方はそちらも飲んでみてはいかがでしょうか。
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