阿波番茶(阿波晩茶)は一番茶を使用し、独特の製法で仕上げられた全国的にも珍しい番茶です。茶葉は徳島県中部の上勝町や那賀町の山間部で生産され、新芽が採れる春ではなく、葉が成熟する夏頃に収穫されます。収穫された葉は茹でるか蒸したあと、軽く揉み、樽の中で約2週間漬けこまれます。その後、天日干しにして製茶されるのです。カフェインが少ない「乳酸菌発酵茶」としても知られ、健康への効果も大きく期待されているお茶です。
歴史
阿波晩茶の歴史は古く、約1200年前の平安時代初期には作られていたようです。
もともとこの地域にはチャノキが自生していたようで、この地に訪れていた僧侶の空海(弘法大師)が製茶法を伝えたとされています。
現在に至るまで、その製法は受け継がれており、このお茶が生産される地元では、日常的に飲むお茶として親しまれています。
産地
阿波番茶の生産は徳島県中部の山間部である上勝町と那賀町で主に生産されています。
特徴
阿波番茶は名前の通り番茶として分類されていますが、他の日本の番茶と比較して大きな違いが2つあります。
- 日本に4つしかない乳酸菌発酵茶
- 一番茶を番茶にする
乳酸菌発酵茶
阿波番茶は珍しい乳酸菌発酵茶の1つです。阿波番茶の他には富山のバタバタ茶、高知の碁石茶、愛媛の天狗黒茶が乳酸菌発酵茶として知られています。
阿波番茶は茶葉を茹でるか蒸したあとに揉み込み、約2週間樽の中で発酵させて作られます。その後天日干しにして製茶されますが、完成された茶葉の中には約30種類の乳酸菌が含まれているそうです。これらの菌には血糖値やお通じの改善効果など様々な健康効果が期待されており、現在でも大学などの機関で研究されています。
一番茶を番茶にする
番茶を生産する場合、多くのチャノキが1番茶を緑茶にし、2番茶以降を番茶として製茶されます。しかし阿波番茶は1番茶を贅沢に番茶にします。
一般的な茶摘みは、5月など春から夏への移り変わりの時期に行われます。阿波番茶の収穫は夏頃で摘み取る時期が遅く、柔らかい新芽ではなく成熟した葉を使用するのです。そのため阿波番茶は「阿波晩茶」とも表現されています。
味わい
阿波番茶は甘味と乳酸菌のほのかな酸味が楽しめます。
発酵の条件や期間が生産者によって異なるため、甘味が強かったり酸味が強かったりと同じ阿波番茶でも生産者によって味に大きな違いがあります。
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