近年、健康意識の高い方々から注目を集めている〝ハーブ〟。
ハーブとは、薬草・香草全般のことを指しますが、現代では、健康や美容に良い、香りのある植物として浸透しています。
ハーブには、タンニンやアルカロイド、ビタミン・ミネラルをはじめ、様々な健康や美容に良い効果をもたらす成分が含まれており、ハーブティーとして飲むことでこれらの成分を摂取することができるのです。
ハーブの中でも、高い効果が期待される植物はメディカルハーブと呼ばれ、医療の現場にも用いられています。
現代、生活習慣病やストレスが原因のこころの病、様々な不定愁訴を抱える人が増加しています。
「眠っても、疲れがとれない。」
「なにをするにもやる気が起きない。」
そんな悩みを持っている方は多いのではないでしょうか。
そんな症状緩和させ、豊かな心と軽やかな体へと導いてくれるのが、ハーブです。
そんなハーブを気軽に摂取できるハーブティー。
ハーブティーの効能と選び方について詳しく説明していきましょう。
ハーブティーと、紅茶やフレーバーティーとの違い
どれもお洒落なお茶で香りを楽しめるため、違いが分かりにくいですよね。
ハーブティーは香りのある植物の茎や葉、花など様々な部分を使用し作っているのに対し、紅茶は緑茶にも使われる「チャ」の木の茶葉を発酵させて作っています。
フレーバーティーは、紅茶とハーブティーのミックスのようなもので、茶葉(紅茶や緑茶)に、ハーブなどの植物を混ぜて作ったものになります。
ハーブの効能
ハーブは、古代より心身の健康に役立てられ、伝統療法として伝えられてきました。
この伝統療法では、病気を「心身のバランスが崩れかけている状態」とし、このバランスを整えることを目的として治療が行われます。
我々を悩ませる現代病も、心身のバランスの乱れから生じるとされており、
この「心身のバランス」の乱れを整えてくれるのが、伝統療法のひとつであるハーブ療法です。
ハーブに含まれる、植物化学成分(光合成の副産物)が以下のような効果を発揮してくれます。
自然治癒力を呼び覚ます
ヒトは皆、生まれながらにして病気や怪我を自らの力で治癒しようとする力(自然治癒力)を持っています。
しかし、ストレスや体の不調からその力が鈍ってしまうのです。
ハーブのもつ様々な効果により体の不調を改善することで、自然治癒力を呼び覚まします。
内臓の働きを整える
多くのハーブに含まれる苦味質や粘液質には、粘膜保護作用や健胃作用、強肝作用、利尿作用など多くの内臓への効能があります。
内臓の働きを整えることが、体の不調を改善する道への第一歩です。
抗酸化作用(アンチエイジング)
ハーブに含まれる「タンニン」には、抗酸化作用があります。
抗酸化作用とは、老化に影響すると言われる「活性酸素」を無害化する働きのことを言います。
活性酸素は、加齢により増加するだけでなく、ストレスや食品添加物などによっても増加するということが近年の研究でもわかってきました。
ストレスの多い方や、外食の多い方は活性酸素が蓄積されているかもしれません。
不足する栄養素の補給
現代人に不足しがちな、「ビタミン」「ミネラル」「食物繊維」が多くのハーブに含まれており、その多くは水溶性であるため、ハーブティーから摂取することができます。
ビタミンCや鉄分、カリウムなど、女性に嬉しい成分が豊富に含まれています。
リラックス
ハーブティーのもつ香りは、人の心をリラックスさせてくれます。
また、多くのハーブに含まれる「アルカロイド」には精神安定作用があり、心を落ち着かせてくれます。
目的別!ハーブの紹介
リラックスしたいときにおすすめのハーブ
- オレンジブロッサム
- ラベンダー
- カモミール
- パッションフラワー
- レモングラス
- マリーゴールド
いずれのハーブにも鎮静作用があり、イライラや焦り、緊張などを取り除いて心に落ちつきをもたらします。
就寝前に飲むことで、ぐっすりと眠ることができるでしょう。
また、ストレスからくる頭痛や胃痛にも有効です。
疲労回復したいときにおすすめのハーブ
- タイム
- ローズヒップ
- ハイビスカス
- リコリス
- マテ
- ネトル
- コモンセージ
いずれのハーブも、強壮作用をもたらし、疲労回復に効果があります。マテは、筋肉や脳の働きも活性化してくれます。
休憩時間や、1日の終わりに飲みたいハーブティーです。
美容におすすめのハーブ
- ローズヒップ
- ラズベリーリーフ
- カレンデュラ
- ルイボス
- カモミール
カモミールには抗炎症作用があり、肌荒れに効果があります。
ローズヒップには多くのビタミン類が含まれており、肌荒れ、シミ・しわ予防に効果がある他、収れん作用のあるラズベリーリーフはしわや肌のたるみに有効です。
ダイエットにおすすめのハーブ
- ジュニパーベリー
- ジンジャー
- スギナ
- ダンデライオン
- バードックルート
- フェンネル
ジュニパーベリーは、別名「デトックスのハーブ」とも呼ばれており、消化促進作用・利尿作用作用によって、体内の余分な老廃物や水分を排出します。
ダンデライオンやバードックルートには緩下作用があり、宿便を押し出して腸内環境を整えてくれることでわ体の内側から美しくなることができます。
ハーブの選び方
ドライハーブとフレッシュハーブ
ハーブティーに使うハーブには、生の「フレッシュハーブ」と、乾燥させた「ドライハーブ」があります。
それぞれに特徴がありますが、ハーブの有効成分を効果的に摂取したい場合は、成分の凝縮されたドライハーブがおすすめです。
ドライハーブ | フレッシュハーブ | |
特徴 | 長期保存が可能 ・季節に限らずいつでも手に入る ・成分が凝縮されており、抽出しやすい | 新鮮な香りが楽しめる ・煮出すと、独特のえぐみがあるものも。 ・季節感がある ・主に水分であるため、ドライハーブと比較的すると有効な成分が摂取し難い。 |
おもにハーブティーにはドライハーブを使用することが多いのですが、
ドライハーブは、湿気に弱く、空気に触れることで酸化してしまいます。
市販のドライハーブを選ぶ際は、
「製造年月日等を確認して、できるだけ新しいものを選ぶ」
「脱酸素加工されたパッケージのもの、
あるいは乾燥剤の入ったものを選ぶ」と良いでしょう。
そして、ハーブを選ぶ際は必ず使用上の注意事項を確認して下さい。
ハーブの薬理作用は穏やかで、幅広い年代の方々ひ安心して使用していただけますが、薬を服用中の方や病気になられている方、
妊婦の方は控えた方が良いハーブもあります。
必ず注意事項を確認し、医師に相談してから使用してください。
ハーブティーの美味しい淹れ方
①ティーポット・急須彽いれる
- 大さじ1杯のドライハーブで、ティーカップ1杯のハーブティーを作ることができます。
②飲みたい量のハーブを茶こし、またはティーパックに入れる
- 沸騰してから1〜2分置いたお湯(95度程度)を静かにティーポットに注ぎ入れ、蓋をします。
③3~5分蒸らす。
- 花や葉は3分、実や種は5分程度が目安です。
④蒸らし終えたら、茶こし等を取り出します。
- ハーブを入れたままにしておくと、苦みや渋みがでてきます。
以上で出来上がりです。
冷蔵庫で冷やして飲む場合や、氷で冷やす場合は濃いめに抽出すると、冷たくても美味しく飲めますよ。
おわりに
ここで紹介したハーブはほんの一部で、数多くのハーブが存在します。
そのぶん、何を選べば良いか迷ってしまいますが、好みの香りや味はもちろん、その日の体の調子に合わせて選ぶと良いですよ。
数種類のハーブをブレンドして、飲むのもいいですね。
飲むだけで、心も体も豊かにしてくれるハーブティー。
ぜひあなたにあったハーブを探して、飲んでみてください。
参考文献:エンハーブ『エンハーブ式 ハーブティーPerfect Book』河出書房新社 発行年月2018年3月