気分を落ち着かせてリラックスしたり、食事をより美味しく食べるために使ったり、ときには薬として使ったりと、人々は長い間お茶を使って生活してきました。その長い歴史にも関わらず、お茶の科学的な効能、特に認知や気分への効能についての研究はまだ始まったばかりです。
科学雑誌「Nature」が発表した記事では、お茶が気分を高揚させ、集中力を高め、おそらくうつ病や認知症を防ぐことができるという研究を説明しています。ここではそれらの研究結果を3つのポイントに絞って紹介していきます。
1.ストレスの軽減
お茶を飲むと、ストレスホルモンのコルチゾールのレベルが下がることが確認されています。
お茶の栄養成分に加えて、お茶を準備したり、社交の場で楽しんだりするだけで、体にリラックス効果をもたらすことができます。「お茶を楽しむ」事自体がストレスを軽減させ、メンタルを回復させているのですね。
2.うつ病や認知症の発症リスクの低下
1日に100ml(約半分のカップ)以上の緑茶を飲むと、うつ病や認知症を発症するリスクが低下するようです。
健康な人を対象にした最近の研究では、緑茶を習慣的に飲んだ人は、飲まなかった人よりも生涯にわたってうつ病を発症する可能性が21%低いことが分かりました。これは、お茶を飲むことは、週に2.5時間の運動をしたことと同等であることを示唆しています。
他にも緑茶を長期間習慣的に摂取することで、認知症のリスクを減らすことができます。たとえば、シンガポールで55歳以上の人々を対象にしたある研究では、週に1杯のお茶を飲んだ人は、お茶を飲まない人よりも記憶や情報処理のテストで優れた成績を収めました。
3.記憶力、注意力の向上
お茶の抗酸化物質EGCGは、人々を落ち着かせ、記憶力と注意力を向上させると考えられています。これは先述のシンガポールの研究でも言えることですね。
またお茶に含まれるもう1つの抗酸化物質であるL-テアニンは、カフェインと組み合わせて摂取すると、EGCGと同様の効果があります。
まだまだ研究は発展途上
今回紹介した研究は、どれも健康な人々を対象にしたもので、もともとうつ病などの精神疾患を持つ人を対象にしたものではありませんでした。つまり精神的な病気の「予防」には、お茶の効果がある程度確認されてきたものの、「治療」にはまだ研究が進んでいないということです。
とはいえ、うつ病の人の約3分の1が効果的な治療法を見つけられないと言われているメンタルヘルスの世界では、お茶は今後の研究にも非常に期待ができ、自然の治療薬になる可能性がありますね。
以上「3分で読める!緑茶がメンタルヘルスに与える効果」でした。
出典:Nature(https://www.nature.com/articles/d41586-019-00398-1)
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