茨城県最大の生産量を誇る猿島茶(さしまちゃ)。肉厚な茶葉を深蒸し製法でまろやかさにしているお茶です。
産地
県内南西部の猿島郡境町や坂東市を中心に茶の栽培が行なわれており、茨城県で最も収穫量の多いお茶の産地です。この地方では、茶の栽培から製茶、販売に至るまで一貫して同じ生産者さんでされていることが多いのが特徴です。自分たちで栽培した茶を自分たちの感覚で製茶し、だれよりもその茶葉を知っていいる人たちが販売しているため、各お茶屋さんごとに「こだわり」が出て特徴が出やすいです。消費者にとってもお店の人に細かく聞きやすいのがいいですね。
歴史
この土地で作られる猿島茶の歴史は江戸時代の初期までさかのぼります。当時はお茶の生産地としては寒く、品質が悪いものばかりでしたが、京都から伝わった品種改良などを経て、高品質なお茶が採れるようになりました。江戸で庶民がお茶を楽しめるようになり、関東圏のこの地域でお茶の栽培が普及していきました。また、お茶は米などの代わりに年貢(税金)として納めることもできました。
また猿島茶はお茶の輸出としても歴史があります。江戸時代に日米修好通商条約(1859)が結ばれてから、商人がアメリカに猿島茶を積極的に輸出していったのです。
茶葉
太平洋から離れた関東平野の中央にあるこの地域では、火山灰の土壌が特徴です。この火山灰が茶の木の栄養をとなり、芽の成長を促しています。また、この地域は冬には冷たい北風にさらされます。その寒さに耐えるために茶葉は肉厚になり、結果的に猿島茶は濃厚な香りを出すお茶になるのです。濃厚な香りをまろやかに仕上げるために深蒸し製法が主流になっています。
品種は「やぶきた」が中心ですが、「さえみどり」や「かなやみどり」といった品種もよく使われ、ブレンドされているものもあります。
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