お茶は古くから飲み物としてあるいは健康を維持するための薬として日本の生活の中にありました。また茶会や茶器、茶室などが華やかな文化を彩る一部としてフォーカスされた時代もあります。
そうしたことからかお茶にまつわる四字熟語やことわざが日本には多くあります。四字熟語やことわざ自体も日本で古くから使われて来たものであるためとも考えられます。
この記事ではそんなお茶にまつわる四字熟語やことわざを紹介していきます。
お茶にまつわる四字熟語
「日常茶飯」
頻繁に起こるような、よくあるできごとのこと。ありきたりなできごとを日常にいつもある茶や飯にたとえた言葉。「日常茶飯事」や「茶飯事」ともいう。
例文:このお店でセールが行われるのは日常茶飯のことだ。
「家常茶飯」
毎日起こるようなよくあるできごとのこと。いつもと同じ茶と飯という意味から。
例文:お父さんとお母さんが喧嘩するなんてうちでは家常茶飯だ。
「無茶苦茶」
物事の筋道が立たないこと。または物事の程度をひどく超えていること。「苦茶」は「無茶」を強調する言葉。
例文:昨日はイライラしていたので無茶苦茶にお酒を飲んだ。
「目茶苦茶」
物事の筋道が立たないこと。またはひどく混乱している様子のこと。「目茶」は当て字で、同じ言葉を重ねて強調した言葉。
例文:試験にも落ちて、財布も落として、災難が続いたからだろうか彼は目茶苦茶な態度をとっていた。
「茶番狂言」
すぐに底の割れるような、ばかばかしい行為や物事のたとえ。ありふれたことを素材として、おもしろおかしく見せる劇から。「茶番」は茶番狂言の略語。
例文:さっきから茶番狂言のような話し合いで全く意味がない。
お茶にまつわることわざ
「朝飯前のお茶漬け」
ものごとが容易にできることのたとえ。 朝飯前の空腹時に食べるお茶漬けはさらさらと簡単に食べられるということから来ている。「朝飯前」は朝飯前のお茶漬けの省略。
例文:マラソンを何度も走っている彼にとって10kmを走るなんて朝飯前のお茶漬けだ。
「余り茶に福あり」
「残り物には福がある」と同じように、他の人がとった後に残されたお茶は案外良いという意味。争いごとに手を貸さない誠実な人のもとには、幸が訪れるということの例え。
例文:友達がお土産を配るというのでみんな我先にもらいに言ったが、最後にもらいにいくと「余った
から2つあげるよ。」とみんなより多く貰えた。余り茶に福ありだった。
「余り茶を飲めば年が寄る」
余ったお茶を飲むことは卑しとされてきたことから、意地汚いことはするなという意味。他に「茶を飲むと早く年をとる」という俗説もある。
例文:いつもいつもご馳走してくれるという話を聞けば駆けつけて、余り茶を飲めば年が寄るよ。
「うどんで茶を食う」
他人が絶対にやらないことにあえて挑戦し、喜ぶことのたとえ。贅沢な暮らしに慣れきってしまった人が「うどんで茶を食う」という奇抜な行動をすることから来ている。
例文:ビジネスコンテストで他の人のアイディアを良く研究したら、うどんで茶を食うことができた。
「お茶の子さいさい」
「お茶の子」とは、お茶に添えて出されるお菓子のこと。「さいさい」は、はやし言葉。お茶に添えられたお菓子が腹にたまらない物であることから、お手軽・簡単な様子を表す。
例文:帰国子女の彼にとってみれば、英語の試験なんてお茶の子さいさいだ。
「お茶を濁す」
適当なことを言ったり、いいかげんなことをしたりして、その場をつくろってごまかすことのたとえ。茶道を知らない人が、適当にお茶を濁らせて抹茶を点てたように見えるようにしたことが語源。
例文:うそをついた人はいくつか質問を繰り返していけば、いつかお茶を濁してくる。
「お茶を挽く(ひく)」
茶の葉を挽いて抹茶を作るのが暇のある人の役割だったことから、特に用事があるわけではなく、暇であることを指す言葉。特に商売が暇なことを言い表していた。
例文:今日は日曜日だというようにお客さんも少なくて、お茶を挽く1日だった。
「酒は酒屋に、茶は茶屋に」
その道のことは、専門家に任せるのが一番だということのたとえ。能力や適性に応じたプロに任せれば、間違いないという時に使う。
例文:壊れた自転車を無理やり自分で直さなくても、自転車屋に持っていく方が良いよ。お金がかかるとしても酒は酒屋に、茶は茶屋にだから。
「粗茶淡飯(そちゃたんぱん)も飽きぬれば即ち休す」
粗茶淡飯とは粗末なお茶と手短な食事のことで、それでも満腹になればそこに感謝して満足するという意味。心安らかに生きていくための心構えを説いたもの。
例文:海外旅行に行けなくとも、国内を良く旅行できているんだ。粗茶淡飯も飽きぬれば即ち休すだよ。
「袖引き煙草(そでひきたばこ)に押し付け茶」
袖引き煙草と押し付け茶はどちらも無理強いをすることのたとえ。相手の都合も考えないで、もてなすという行為は、かえって迷惑につながるという意味。
例文:そんなにたくさん食事を出したら、袖引き煙草と押し付け茶になるよ。
「沢庵(たくあん)の重石に茶袋」
沢庵を漬けるための重石し代わりに茶袋を用いても軽すぎて無意味であることから、手応えや効果がないという意味。
例文:あんなに借金があるのに、10万円稼いだところで沢庵の重石に茶袋だ。
「猫も茶を飲む」
いつものんびりしてばかりいる猫がお茶を飲んでひと休みする姿から、生意気で身分不相応な言動をすることを意味する。
例文:普段から練習してないのに、急に優勝を目指すなんて猫も茶を飲むようだ。
「臍(へそ)で茶を沸かす」
あまりにおかしくて、笑わずにはいられないことを例える言葉。聞くだけ馬鹿馬鹿しいこと、という意味もある。ほかに「臍が茶を沸かす」とも言う。
例文:ろくに勉強もしてないのに東大を目指すなんて、臍で茶を沸かすね。
最後に
以上、お茶にまつわる四字熟語とことわざを紹介してきました。お茶にまつわることはここに紹介した以外にもまだまだあります。いかにお茶が古くから日本人の生活や文化に根付いているかということがわかりますね。
最近ではあまり聞くことのない言葉も増えてきていますが、せっかくなのでいくつか覚えておくと良いかもしれません。