紅茶は、生活習慣病の改善やがんの予防、風邪の予防など様々な健康効果があることで知られています。それは紅茶に、ポリフェノールが含まれているからです。
紅茶も緑茶もウーロン茶も、実は同じ茶樹の葉から作られます。風味や色が違うのは、製造方法が異なるからです。
紅茶は製造の過程で茶葉を発酵させて作られます。でも緑茶は発酵させませんし、烏龍茶は軽く発酵させる程度です。
茶葉を発酵させることによってカテキンの一部がポリフェノールに変わります。カテキンもポリフェノールと同じような働きをしますが、ポリフェノールの方が強い抗酸化力を持っているので、紅茶は健康効果の高い飲み物として世界中で飲まれています。
ここでは、紅茶にはどのようなポリフェノールが含まれているのかや、期待される効能、摂取量の目安などをまとめました。
紅茶に含まれるポリフェノールの種類
カテキンはポリフェノールの一種です。ポリフェノールはほとんどの植物に存在して、自然界には8,000種類以上存在するとされています。
特に紫外線のダメージから守るために葉や、子孫を残すための種子の部分に多く含まれています。
紅茶に含まれる主なカテキンは、エピカテキン、エピロカテキン、エピカテキンガレード、エピガロカテキンガレードの4種類です。紅茶の味に渋みを作り出す成分です。
そして、茶葉を発酵させる過程でカテキンがテアフラビンとテアルビジンという成分に変わります。この2つはポリフェノールの一種で、紅茶の美しい色を作っている成分でもあります。
ポリフェノールの効果・効能
ポリフェノールには様々な健康効果があることがわかっています。
抗酸化作用
活性酸素は体の細胞を酸化させて、老化や病気を引き起こす原因になります。ポリフェノールには高い抗酸化作用があるので、体内で発生した活性酸素を不活化させ老化や病気の予防に効果が期待できます。
動脈硬化の予防
食事で摂取したコレステロールの吸収を抑え、動脈硬化の原因になる悪玉コレステロールを排出を促します。
血圧の上昇を防ぐ
血管の収縮による血圧の上昇を防ぎます。
ガン予防
ガン細胞の増殖を防ぐ働きをします。
血糖値の上昇を防ぐ
食事で摂った糖が腸から吸収されるのを抑える働きがあります。血糖値の上昇を穏やかにすることで体に脂肪が蓄積されにくくなります。
脳疾患や心疾患を防ぐ
血液を固まりにくくして血栓ができるのを防ぎ、脳梗塞や心筋梗塞を防ぎます。
ダイエット効果
ポリフェノールの一種であるカテキンは、肝臓での脂質代謝を上げる働きがあります。エネルギー消費が高まるため、体脂肪の減少などダイエット効果が期待できます。
抗ウイルス作用
風邪のウイルスは体内に入ると細胞の中で増殖します。ポリフェノールは、ウイルスが細胞につくのを防ぐため、増殖しにくくする働きがあり、風邪の予防に効果を発揮させます。インフルエンザ予防にも効果的です。
抗菌作用
抗菌作用があるので、病原性大腸菌やサルモネラ菌など食中毒の原因になる菌の増殖を抑える働きをします。また、胃潰瘍や胃がんの原因とされるピロリ菌や、虫歯の原因になるミュータンス菌の増殖を抑える効果も期待できます。
口臭予防
口臭の原因になる口腔内の細菌の増殖を防ぐので、気になる臭い防ぐ効果があります。また、口臭は歯周病や虫歯が原因でも発生しますが、紅茶の抗菌作用でそれらの原因菌の増殖も抑え、臭いの発生を防ぐ働きをします。
紅茶に含まれるポリフェノールの量
紅茶に含まれるポリフェノールの量は、タンニンの量をポリフェノール量と換算すると、紅茶100ml当たり100mgのタンニンを含んでいます。
他のお茶100mlと比べてみると、煎茶は70mg、番茶は30mg、ほうじ茶40mg、玄米茶10mg、ウーロン茶は30mgです。
紅茶に含まれるポリフェノール量が他のお茶に比べて多いということがわかります。
紅茶に含まれるカテキンやポリフェノールの量は製品によって異なりますし、同じ茶葉でも製造過程やいれ方によっても異なります。
カテキンは熱いお湯で抽出されやすいとされているので、より多くのカテキンやポリフェノールを摂取するためには熱いお湯を使って紅茶をいれるのがおすすめです。
1日の摂取量の目安
ポリフェノールは、ビタミンやミネラルなどとは違って、栄養素ではないため1日にこれだけ必要という摂取量は決められていません。
ただ、ポリフェノールによる生活習慣病のリスクの軽減や健康効果を得るためには、1日1,000〜1,500mgが摂取の目安量とされています。
日本人女性の平均的なポリフェノール摂取量は1日800mg程度と言われているので、ポリフェノールの効果を十分に発揮できる量には足りていない人が多いようです。
紅茶1杯150mlには、150mg程度のポリフェノールが含まれています。そのため普段の生活の中で1日2〜3杯の紅茶を飲むようにすると十分に目安量を摂取することができます。
飲むタイミングは特に決まってはいませんが、紅茶には血糖値を上昇させにくくしたり、コレステロールの吸収を抑える効果があるので、食事やおやつのタイミングに飲むのがおすすめです。
またカフェインを多く含むため、寝る前に飲むと寝つきが悪くなってしまう人もいます。
カフェインには疲労感を和らげて覚醒させる効果があるので、寝起きに飲むとスッキリと目が覚めたり、仕事の合間に飲むとリフレッシュする効果が期待できます。
紅茶を飲むときの注意点
紅茶に含まれるポリフェノールを効率よく摂取するためには飲み方に注意が必要です。
ポリフェノールは熱いお湯で入れると抽出されやすくなるので、水出しよりも沸騰直前まで沸かせた熱いお湯で入れるようにしましょう。
飲み方はストレートが基本です。ミルクを入れるとミルクのタンパク質がポリフェノールやカテキンと結合して、働きを阻害してしまいます。
砂糖はカロリーの取り過ぎに繋がったり、血糖値を上げやすくなってしまうので入れないようにしましょう。
まとめ
紅茶は飲むだけで様々な健康効果があるのでうれしいですね。紅茶には多くの種類があるので、それぞれの味や香り、色も楽しみながら、普段の生活の中に取り入れてみてください。