ひとくくりに「抹茶」と言っても、その味や香りは様々なものがあります。中には高級だけど品質や味がイマイチな抹茶というのもたくさんあります。味の好みは人それぞれですが、少なくとも「品質の良い抹茶」というものを理解していれば、今後の抹茶選びの参考になるでしょう。
今回はそんな良い抹茶の見分け方を6つのポイントに絞ってサックリご紹介していきます。
1.色
品質の良い抹茶は、基本手に明るい緑色をしています。
反対に悪い抹茶は鈍い黄色がかった色をしているため、このような色の抹茶は間違っても来客時に出したりプレゼントとして使わないよう注意しましょう。
抹茶の原料となる碾茶は、被覆栽培といって茶葉の収穫前に黒い布を被せることで、直射日光を受ける時間を減らして栽培されます。この間、茶葉には栄養と一緒に葉緑素が溜まり、葉は鮮やかな緑の色合いになります。
特に若い新鮮な葉ほど葉緑素であるクロロフィルが最も豊富になり、そこから作られた抹茶は明るい緑色をするのです。同時にこのような色をした葉には、L-テアニン(アミノ酸)が最も多く含まれており、旨味を強く感じやすいおいしい抹茶にになるのです。
2.生産地
栽培地、加工地ともに日本のものを選びましょう。
ただし、茶の栽培地と加工地は異なり、通常パッケージには加工地のみが記載されています。中国で栽培されたお茶の葉を日本で抹茶に加工すれば『日本産』になってしまうため、両方を確認するよう注意して下さい。
お茶の起源は中国ですが、抹茶の起源は日本です。日本は何世紀にもわたって抹茶の栽培事業を行っており、質のいい抹茶を生産するために、栽培や加工のノウハウが長年培われていきました。抹茶の原料となる碾茶の栽培地としても日本が最も理想的な気候です。特に宇治のように年間降雨量が多く、昼と夜の大きな温度差が大きく、霧がよく発生し、肥沃な土壌(マグネシウムを含む)がある土地であるほど品質の良いものができます。
日本国内で抹茶といえば宇治が有名ですが、現在では宇治以外でも品種改良や加工のレベルが上がっており、質の優劣がつかないほど良いものが生産・販売されています。一方で中国で栽培や加工された安価な抹茶も多く存在しますが、現状では総合的に見てやはり日本のもののほうが品質がいいと言えます。ただし、近年の中国の技術向上を考えると、日本と同じ品質になる日はすぐそこまで来ているのかもしれません。
3.価格
価格が高い抹茶ほど品質が良いものが多いです。
そもそも抹茶は他のお茶に比べて生産の手間が多く、かつ生産できる量が少ないのが特徴です。そのため、基本的には他のお茶よりも高級なものになります。さらに国内で販売されている抹茶の場合、価格が高い抹茶にはそれなりの理由があるものがほとんどです。
例えば、より高級な抹茶は収穫された葉から、茎や葉脈を丁寧に取り除く工程が入っていたりします。また、とても高価で室の良い石挽き機を使って、ムラ無く粉末化されていたりもします。
またよりハイグレードな価格帯の抹茶は初摘みされた1年で一番最初の葉から作られたものです。前年の収穫から長い時間を掛けて栄養を葉に蓄えられており、味も美味しいものが出来ます。
4.保存方法
できる限り日光の入らない真空状態でパッケージ化され、涼しいところに保管されているものを選びましょう。
抹茶は粉末化しているため、表面積が大きく、すぐに空気によって劣化(酸化)してしまいます。梱包された容器や保管場所が不十分であれば、どんなに良い抹茶でもすぐに質が悪くなってしまうのです。
まずはパッケージがきちんと真空で、直射日光が入らないものになっているかをよく確認しましょう。次に保存(販売)場所をチェックして下さい。例えば道の駅の軒先で販売(陳列)されているような状態の抹茶は購入を控えるようにしましょう。最低限店内、理想は冷蔵庫内に保管されているものを選んで下さい。
これは私たちが抹茶を購入したあとも同じことが言えます。より長く新鮮に保つためには、できるだけ空気を通さない容器に入れて冷蔵庫内に保存するようにして下さい。
5.香り
フレッシュな抹茶は、抹茶特有の香りの中でもやや甘い香りが強いものが特徴です。
とはいえ品種などによってもこの甘い香りには差があるため、一概にすべての抹茶に言えるものではありません。少なくとも埃っぽい匂いやカビのような匂いがわずかでも感じられるものは大きく劣化している証拠です。このような抹茶は購入しないように注意しましょう。
6.質感
良質の抹茶は、さらっとしたものでなければなりません。
静電気により一時的に抹茶が固まることもありますが、通常はふるいにかけると非常に細かくなります。この細かいさらっとした質感がない抹茶は水分が含まれていたり、粉砕の精度が悪い可能性が考えられ、質のいい抹茶とは言えません。
同様に泡立てたときに泡が出来にくい抹茶は粒度が大きい可能性があります。基本的によく泡立つものほど質がいいと言えるため、泡立ての際にはその時間にも気を配ってみましょう。
参考:沫茶の起泡性に及ぼす起泡速度と起泡時間の影響(https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience1995/32/3/32_234/_pdf/-char/ja)
:市販抹茶の価格 と品質および起泡性 との関係について(https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience1995/35/3/35_297/_pdf)
:https://www.healthline.com/nutrition/how-much-green-tea-per-day#TOC_TITLE_HDR_5
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