愛知県中央の矢作川流域の最南端である西尾市を中心に生産されている西尾茶(にしおちゃ)。この土地は、温暖な気候と水はけの良い赤土が特徴で、茶の産地として適している。京都の宇治から伝わった『抹茶』が生産量の大部分を占めており、国内でも特に高級抹茶の一つとして知られている。茶摘みも手作業で行われることが多く、丁寧に作られた上質な抹茶が生産されている。
製法
西尾茶の大部分は抹茶であるため、ここでは抹茶に絞って西尾茶の製法をお話します。
新芽が出る4月中旬ごろから、抹茶全体に覆いを被せ、日光が当たらない状態にする被覆栽培(ひふくさいばい)が主流。日光を遮ることによって苦味成分を抑え、旨味を感じる仕上がりに。また香りもほのかに甘さを感じる美味しい抹茶に仕上げられています。
茶摘みでは現在主流の機械式ではなく手摘みを行っているところも多く、さらに摘んだ茶葉を何回も選別して丹念に石臼で挽いています。この手間ひまをかけた工程が高級抹茶として知られている由縁です。
産地
抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)の生産量は国内でもトップクラスを誇るのが西尾の抹茶です。
この土地では太平洋側の温暖な気候に加え、水はけの良い赤土層があるのが特徴です。さらに丘陵地であるため、朝夜の寒暖差が大きくなりやすく、非常にお茶の栽培に適した土地といえます。
歴史
この地で抹茶の生産が本格的に行われたのは13世紀ごろ。ルーツは京都の宇治にあたります。宇治から抹茶の製法と共にチャノキが持ち込まれ、恵まれた気象環境も合わさってすぐに抹茶の産地として頭角を表しました。
しかし昭和の後期をピークに栽培面積・農家数共に減少傾向が続いています。近年では抹茶そのものを楽しむよりもスイーツや飲み物に抹茶を混ぜる「加工用抹茶」の需要が高くなり、単価の安い他生産地にシェアを取られるなど苦境が続いている現状です。一方で国外の日本茶・抹茶需要の高まりから輸出での活路も模索されています。
品種
ほとんどが抹茶の原料である碾茶のため、品種はほぼすべてが碾茶向きのもので「あさひ」「さみどり」が主流です。
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