神奈川県の丹沢・箱根エリアを中心に生産されている足柄茶(あしがらちゃ)。足柄茶は、1920年頃から茶の栽培が始まった比較的新しい銘柄です。非常にお茶に適した土壌やそれを活かす気象環境から、品質の良いお茶が採れやすく、様々な賞を受賞しています。近年では、小田原市や秦野市など広い地域で栽培が行われています。
味・製法
足柄茶の味を一言で表すと「バランスの取れた味」です。
この土地で取れるお茶は、安定して品質の良いお茶が取れやすく、「甘み」「旨味」「苦味」「コク」「香り」のどれをとってもバランスの取れたお茶が採れます。なにかに尖った特徴的なお茶ではありませんが、万人受けする日本茶と言えるでしょう。
製法は、独自の火入れ焙煎を行ったり、蒸し工程に工夫を凝らしたりと製茶所によって様々です。茶葉の質がいいからこそ、製法に正解はなく、各社で様々な独自性のあるお茶に仕上げられています。
産地
神奈川県の県西部、現在の箱根市・山北町・南足柄市などを中心に小田原市や秦野市、相模市など広い地域で栽培されている。
これらの土地の特徴は、水はけがよく、チャノキの栄養となる窒素成分が豊富に含まれています。また、比較的日照時間が短いため、茶葉の成長速度はゆっくりとなり、茶葉は土壌の栄養をじっくり吸収することができるのです。これらの優れた土地環境から品質が良いお茶が取れやすい産地となっています。
一方で、茶園の多くが傾斜地に立地しており、生産性の低さが課題となっています。
歴史
丹沢・箱根エリアにお茶の栽培が普及したのは1923年の関東大震災のあと。災害によって職が失われた人々のために、山村復興プロジェクトの一環としてチャノキの種が配られたことがきっかけです。
静岡県に近く、茶の栽培に適した土地ということもあり収穫量は年々増加していき、1963年には全国茶品評会にて1位を獲得しました。そこからこの丹沢・箱根で栽培エリアが拡大し、品質の良いお茶としてのブランドを確立していったのです。
近年は後継者不足や茶園更新の遅れ、また東日本大震災の影響による一時的な生産中止など、様々な理由により生産量は年々減少しています。
茶葉
茶葉そのものに特別大きな特徴はありませんが、産地の特徴で挙げたような恵まれた土地柄、芳醇な茶葉に仕上がります。
品種には「やぶきた」が最も一般的に使われております。
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