埼玉県西部や東京都西多摩地域で生産されるのが狭山茶(さやまちゃ)。狭山茶は、静岡茶、宇治茶と並んで日本三大茶とされており、400年以上前から栽培されている歴史のあるお茶とです。冬の厳しい寒さの中でじっくり生長することで葉が肉厚になり、甘みが強く深い香りが特徴。東京に近いこともあり関東で人気の高い銘茶の一つです。
味・製法
狭山茶の味を一言で表すと「濃く、まったりとした味わい」です。
この地域で根付いていることわざであり民謡である狭山茶摘み歌には「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」と謳われているほど。これはあくまで生産地である狭山地域の言葉ですので、産地への想いも強いでしょうが、それほど味には自信を持っていたことが伺えますね。
そしてその狭山茶の味わいを決めている製法が「狭山火入れ」と呼ばれる強火の乾燥処理です。
後述しますが、この地域で育ったお茶の葉は肉厚になります。その肉厚の葉を強火で乾燥処理を強火で行うことで、味をギュッと凝縮させているのです。そのため、狭山茶は他の地域のお茶と同じ重さでお茶を淹れると、味の濃さが際立つのです。
産地
埼玉県の県西部入間市、所沢市、狭山市を中心とする狭山丘陵地域が狭山茶の主な産地。その近隣の市町村でも少量ながら生産されており、県境である東京の多摩地区でも「東京狭山茶」として生産されています。ただし東京狭山茶は産地特性上の分類として狭山茶と同じと考えられます、都道府県の違いから2つは分けて分類されることが多いです。
2019年時点でのお茶の生産量は埼玉県が第9位に位置しており、その多くが狭山茶。しかし狭山茶が生産される地域では近年ベッドタウンとしての再開発が進められており、生産者の減少や生産地の縮小、他に比べて面積あたりの生産量が少ない気候等の特性などの原因により生産量は減少傾向にあります。
歴史
狭山地域には約400年前の鎌倉時代に西から茶が伝わり、その後約200年前の江戸時代に広く普及していきました。首都である江戸が近かったこともあり、徳川家を始め、江戸の庶民にも広く親しまれ、生産量が増加していったのです。
茶葉
冬は厳しい寒さに見舞われるため、冬の葉の生長が非常に遅いのが特徴です。寒さを凌ぐために葉が肉厚になりやすく、甘みが強く深い香りのお茶になります。
このような寒冷地では、茶が味わい深くなる代わりに1年で採れる収穫量は暖かい地域に比べて少なくなることが特徴です。
品種には「やぶきた」「さやまかおり」が主に使われていますが、生産者によっては「ふくみどり」「ゆめわかば」「おくひかり」など様々な品種が使い分けられており、それらをブランドして販売しています。
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