緑茶や紅茶などお茶の中にはいくつかの健康にいい成分が含まれていますね。
代表的なのはカテキン、カフェイン、テアニン(アミノ酸)、糖類(ペクチン)です。実はこれらの成分はお茶の独特の渋みや苦み、旨味、甘味を引き出しています。つまりこれらが含まれている量や割合によってお茶の味が変わってくるのです。
茶葉は同じでも、栽培方法や製茶方法によってそれらの含まれる量に違いが出るため緑茶は煎茶、玉露、かぶせ茶、番茶など味や風味、色合いの違うお茶が生まれます。
よく健康茶のパッケージに「〇〇が□□g」といったうたい文句が書いてあることがありますね。
成分の味を知っておけば、そのパッケージからなんとなくお茶の味が想像できるのです。
ここでは、どの成分によってどのような味の感じ方になるのかご紹介していきます。
カテキン
カテキンは、ポリフェノールの一種で、タンニンと呼ばれることもあります。お茶の独特な渋みと苦みを感じさせる成分です。
緑茶に含まれるカテキンはポリフェノールの中でもフラバノールという種類で、主に含まれているのはエピカテキン(遊離型)、エピガロカテキン(遊離型)、エピカテキンガレード(エステル型)、エピロカテキンガレード(エステル型)の4種類のカテキンです。
遊離型のカテキンは、苦味はありますが渋みが少ないという特徴があり、エステル型のカテキンは、苦味と渋みを感じやすいという特徴があります。
最も多く含まれるのは、エピガロカテキンガレードです。お茶に含まれるカテキンの内、50〜60%を占めています。
また、カテキンは一年の最初に摘まれる一番茶よりも二番茶で増加します。陽の光が当たらないように被覆栽培で育てられる玉露やかぶせ茶では、生成が抑えられるため、お茶の渋みが好きな方は二番茶以降で作られた茶葉や煎茶を、お茶の苦味や渋味を控えたい人は一番茶や玉露、かぶせ茶を選ぶのがおすすめです。
またカテキンは熱いお湯で入れるほど溶け出しやすくなります。
カフェイン
カフェインは、覚醒作用による眠気を覚ます効果や、利尿作用があることがよく知られていますが、カフェイン自体にも味があります。コーヒーやチョコレートなどにも含まれる成分で苦味の元になる成分です。
茶葉に含まれるカフェインの量は、若い芽に多く、成熟した芽は少なくなるという特徴があります。
カフェインの含有量が最も多いお茶は玉緑です。抽出方法によっても異なりますが、100ml当たり約160mgのカフェインが含まれています。
カフェインが多いとして知られているコーヒーでも100mlあたり約60mgなので、玉露はコーヒーの2倍以上のカフェインを含んでいることになります。
カフェインの過剰摂取は体に悪い影響を与えることがあります。特に妊婦さんや子供は注意が必要とされているため、カフェインの量が多い玉露は控えた方が良いのかと心配になる人もいるでしょう。
でも、玉露に含まれるカフェインの影響は、それほど神経質になる必要はないとされています。それはカフェイン以外にタンニンやテアニンといった成分が含まれているからです。それらの成分はカフェインの作用を抑制させる働きをします。
カフェインの含有量が少ない緑茶は煎茶、ほうじ茶、番茶、玄米茶などで、100ml当たり約10〜20mgです。
また、カフェインの含有量は、お茶の入れ方によっても左右されます。カフェインが気になるという人は入れ方を工夫すると軽減することができますし、逆に頭をシャキッとさせたい時や集中力を高めたいという時にはカフェインが多くすることもできます。
カフェインはお茶を入れる時のお湯の温度が高いほど濃くなります。80度以上で溶け出す量が増えるため、カフェインの溶け出しを抑えるには70度以下のお湯で入れることが大切です。
カフェインの量が減るとカフェインの持つ苦味も抑えることができます。
さらに水出しにするとカフェインをほとんど含まないお茶を入れることもできます。
逆に高い温度のお湯で入れると、カフェインの含有量が多いお茶にすることもできます。
お茶を入れる時のお湯の温度で、お茶に含まれるカフェインの量が変わるので、同じ茶葉でも色々な味を楽しむことができます。
テアニン(アミノ酸)
テアニンはアミノ酸の一種で、甘味や旨味、まろやかさを感じさせる成分です。お茶にはグルタミン酸やアスパラギン酸など様々なアミノ酸が含まれていますが、半分以上を占めるのがテアニンです。
茶葉に含まれるテアニンは陽の光を浴びることで、カテキンに変化します。そうなると甘みや旨味が減って渋味や苦味が強くなります
玉露やかぶせ茶が緑茶の中でも甘味が強いのは茶木に陽の光が当たらないようにして育てる被覆栽培をされているからです。陽が当たらないので、煎茶や番茶などに比べるとテアニンが多く含まれています。また窒素質肥料を使って育てると含有量が多くなることもわかっています。
また、テアニンは一番茶に多く含まれ、二番茶、三番茶では減ってしまいます。さらに若い芽ほど含まれている量が多いそうです。
テアニンの特徴は、低温の水でも溶け出すというところです。温度の高いお湯を使うと、カテキンやカフェインが溶け出してしまい増えてしまうため、水出しにすることで渋味や苦味の元になるカテキンやカフェインの量は抑えて、旨味と甘みの元になるテアニンだけをたくさん溶け出させることができます。
そうすると、まろやかで旨味と甘みのあるお茶を入れることができます。またテアニンにはリラックス効果があります。お茶を飲んだ時にホッとした気持ちになったり、心を落ち着けることができるのはそのためです。
お茶には覚醒作用のあるカフェインが含まれるため寝る前に飲むと寝つきにくくなってしまうと言われます。ですが、水出しにする事でカフェインの量は抑えてテアニンだけを濃く溶け出させることができます。
カフェインを抑え、テアニンをたっぷりと含んだ緑茶を寝る前に飲むことで安眠効果によりぐっすりと眠ることができ、疲れやストレス解消にも効果的が期待できます。
糖類(ペクチン)
お茶には、ショ糖、果糖、ブドウ糖など様々な糖類が含まれていますが、含有量が少ないため、お茶に含まれる糖類によって甘味を感じるということはありません。
お茶に含まれる糖類の中で、お茶の味に影響しているとされているのがペクチンです。ペクチンはリンゴやレモン、オレンジなど果物の果皮に多く含まれる成分です。
ペクチンそのものに味はありませんが、カテキンやカフェインの味の特徴である渋味や苦味を抑えることができるので、甘みを強調させることができます。そのためペクチンが多く含まれているとお茶の渋みや苦みが抑えられ、甘みや旨味を強く感じるようになります。
緑茶の中でも特に甘みが感じられる玉露はペクチンの含有量が多いお茶です。
ビタミンC
緑茶にはビタミンCが豊富に含まれています。ビタミンCは人の体で作ることができない成分なので食べ物から摂取する必要がある成分です。コラーゲンの生成や風邪の予防、抗酸化作用など様々な効果があります。
煎茶には特に多くのビタミンCが含まれていて、その量はレモンの約2.5倍とされています。
ビタミンCといえばレモンの酸っぱい味と黄色をイメージする人が多いでしょう。でもお茶にそのような酸味は感じられません。
実はレモンの酸味はクエン酸によるもので、ビタミンCによるものではないのです。実際のビタミンCはほぼ味がなく色は無色です。
ビタミンCは摂取したいけど、レモンのような酸味は苦手という人はぜひ緑茶でビタミンCを摂取してください。
ただ、ビタミンCは熱に弱く壊れやすいという特徴があります。ビタミンCを効率的に摂取するには水出しでお茶を入れるのがおすすめです。
ビタミンC意外にも緑茶は体の健康を保つために必要な多くのビタミン類やミネラルを含んでいます。例えば、煎茶や抹茶にはビタミンEが多く含まれていますし、玉露や煎茶はビタミンKを多く含んでいます。
ミネラルでは老廃物の排出を促すカリウムが豊富に含まれているほかに鉄分や亜鉛なども含まれています。
そして煎茶に含まれる食物繊維はひじきとほぼ同じ量です。
緑茶はとても健康効果の高い飲み物ということがわかります。
サポニン
サポニンは緑茶の茶葉に約0.1%程度含まれる成分で、強い苦味とえぐみを持っている成分です。緑茶の中では、煎茶に多く含まれています。抗菌、抗ウイルス作用があります。
さいごに
それぞれの成分の味がわかると、商品を買う前に味の想像ができて効率的です。
また、種類や銘柄が分からないお茶をいただいた時に、その味から成分を分析することもできます。
普段美味しく飲んでいるお茶も、味に集中して成分を想像することで、今までよりももっと楽しくティータイムを過ごすことができますよ。